めまいでお困りのあなたへ
こんにちは、カイロプラクティック・ブリーズの院長、井上省二です。私は2009年に大阪市の平野区で開院いたしましたが、めまいでお困りの方は意外にたくさんいらっしゃいます。
まず最初は病院に行かれる方がほとんどだと思いますが、なかなか有効な治療法や予防法がない、というのが本当のところではないでしょうか。一般的にはあまり知られてはいませんが、めまいの中には徒手療法によって改善するタイプのものも数多く存在します。
実際にめまいや耳鳴りが主訴の患者様に触ると、典型的には頚椎や顎関節、相対的な頭の位置などに問題が見られるケースが多いです。特に頚椎周りのコンディションには必ず問題があると言っても過言ではありません。
私だけでなくおそらく多くの徒手療法家が、頚椎周りの構造にストレスが蓄積されると、めまいや耳鳴り、頭痛だけでなく様々な症状が現れることを経験的に知っているのではないでしょうか。中には患者さんご自身でも首がつらくなってくると様々な不調が生じる引き金となる、という自覚をお持ちの方もたまにいらっしゃいます。
一方では明らかに体に問題があるにも関わらず、心療内科にたどり着いてしまったという方も残念ながら少なからずいらっしゃいます。あなたがどんな診断を受けていようと、一度は首から上を良い状態に整える事で症状に変化があるかどうかを、ぜひとも確認してみて頂きたいと思います。理由はもちろん、実際にそれで良くなる方がいらっしゃるからです。
おそらくみなさんはすでに、めまいや耳鳴りの原因や治療法などについてネット等で調べた経験がおありだと思いますが、一般的なサイトではめまいの原因となる、とても大切なある要素がなぜか抜け落ちています。
それは固有受容器の問題です。
固有受容器とは?
固有受容器は人間の関節や筋肉に存在する、ある種のセンサーのようなものです。例えば私たちは目を閉じた状態でも、自分の体や手足が空間の中で、今どの位置にあるのかを把握できますよね?見えない状態でも、両手の人差し指を体の真ん中で、ピッタリとはいかなくてもほぼ合わせる事もできます。
こういった事が可能なのは、固有受容器が常に関節の位置や運動に対する情報を脳に送っているからなのです。
ちなみにあなたは人間の平衡感覚は主にどこに依存していると思いますか?一般的には視覚、体性感覚、前庭覚が平衡感覚に関わっていると言われます。
視覚は目で見た情報、体性感覚は主に関節や筋肉の固有受容器からの情報、前庭覚は耳のずっと奥、内耳の領域にある平衡感覚に関わる器官からの情報です。
私たちが明るい場所で水平の地面の上に立っている時には、およそ体性感覚が70%、前庭覚が20%、視覚が10%の割合で姿勢制御に関わっていると言われています。私たちが普段全くその存在を意識しない固有受容器の働きから生まれる体性感覚が圧倒的な割合を占めているというのは何だか皮肉な感じもしますね。
さらにこの固有受容器は首の関節や筋肉に特に数多く存在することが分かっています。
私たちは地面や体の体勢がどんなに傾こうと、頭の位置は水平を保ってバランスをとろうとする事を思えば、頭の位置を最終的に調整する首の周りに固有受容器がたくさんあるのは、ある意味では当然のような気もします。
そしてその首にたくさんある固有受容器の機能が低下すれば、めまいを生じる原因となるのも当然だと思いませんか?
例えば、首のある筋肉を片側だけ注射でマヒさせれば、めまいどころか真っ直ぐ歩けなくなる事が動物実験では明らかになっています。もちろんそような事は自然には起こりませんが、この実験結果は首にある固有受容器が平衡感覚に大きな影響力を持っている事を示しています。
固有受容器の機能低下
例えばお年寄りが足元が不安定になってつまずいたり、こけやすくなるのは単に筋力が衰えたからではありません。固有受容器やそこから得た情報の入力、出力の機能が低下してしまっているからです。
固有受容器の機能は年齢と関係なく低下することがあります。例えばすぐに腰を痛めてしまう方がいらっしゃったとすれば、おそらくその方にとっては姿勢や骨格的なゆがみといった形の問題だけでなく、固有受容器の機能低下も原因となっているはずです。
あるいはそもそも固有受容器の機能が低下したために姿勢や骨格的なゆがみを生じたという言い方も出来るかもしれません。
めまいをお持ちの方は頚椎の関節や筋肉のコンディションに問題がありますが、それに伴ってこのエリアに数多く分布する固有受容器の機能も低下しています。
それによって平衡感覚に不具合が生じて、めまいを引き起こすと考えられます。
固有受容器の機能を取り戻す
まずあなたの頚椎の関節やそこに付着している筋肉のコンディションを改善させる必要があります。さらには相対的な頭の位置や日常での姿勢、座り方なども改善する必要もあるでしょう。
健康な関節には外から力を加えた時に「関節の遊び」と呼ばれるわずかな可動域が存在します。これは運動の中での関節の可動域とは別物ですので自分で測るのは難しいと思いますが、もしあなたがめまいでお困りなのであれば、頚椎における「関節の遊び」は失われている可能性が高いでしょう。
関節が健全な状態ではなくなると、周りの筋肉も二次的に硬くなってきます。みなさんも経験がおありかもしれませんが、硬くなった首の筋肉を頑張って押したりほぐしたりしてもなかなか楽にはならないものです。
例えその場では楽になったとしても、関節の問題が放置されたままでは良い状態は長続きはしません。むしろ多くの場合、関節を良い状態に整えれば、硬くなっていた周りの筋肉は勝手にゆるんでくれます。
ただ正直に言いますが、施術だけでは充分ではありません。施術によって固有受容器が働きやすい環境が整った後は、あなた自身がそれらを上手く使う方法を身につける必要があります。
何もアスリートがしているような固有受容器のトレーニングをしろと言うのではありませんよ。あなたが日常の姿勢や座り方などを意識することが固有受容器のトレーニングになります。まず固有受容器というセンサーが体中にある事を知り、そしてそれを利用するという意識を持つことによって、より高いレベルで体をコントロールできるようになります。
それに加えて日常的にストレッチの習慣を持つことも大切ですよ。当院では正しい姿勢や座り方、今のあなたに合ったストレッチなどをアドバイスさせて頂いてます。
めまいの種類
めまいの分類や名称の付け方はかなり適当というか、いい加減なものがあります。ですからここではあえて「〇〇めまい」とか「〇〇症」という言葉はあえて使わずに、一般的にめまいの原因と考えられている要素を挙げてみたいと思います。
頚椎の劣化や老化
頚椎は7個ありますが、両脇に横突孔という穴が開いています。この穴が縦に並んで、血管が通るトンネルを形作っています。この血管は椎骨動脈といいますが、頭蓋骨に入った後合流して脳底動脈になります。
頚椎の構造的な劣化や老化などが原因で、関節の周りに不必要な骨の突起や棘ができてしまう事があります。その近くに椎骨動脈があれば、当然物理的にストレスを与えることになります。これらの領域の血流が妨げられれば、一過性にめまいを生じる原因となります。
一般的には「頚性めまい」または「椎骨脳底動脈循環不全」に分類されています。
首周りの筋肉の過緊張
頚椎周辺や顎関節、後頭部や側頭部の筋肉がカチカチになると、やはりめまいを生じる原因となります。まさに固有受容器が働けない環境になってしまうからです。
ただこのケースでは基本的には頚椎の構造的な劣化や老化は関係ありません。つまり若い方でも条件が揃えばこのタイプのめまいを生じます。
首に原因があるという事で、一般的には「頚性めまい」に分類されていますが、正確には「筋緊張型めまい」と呼ぶべきであると個人的には思います。
血管自体の問題
最初に触れた椎骨動脈や脳底動脈の血管自体に、物理的に血流を阻害する原因がある場合もやはりめまいを生じます。
このようなケースは「椎骨脳底動脈循環不全」に分類されますが、めまいに加えて何らかの神経症状が現れた場合は脳梗塞のサインの可能性がありますので、病院で検査を受ける必要があります。
神経症状とは、例えば体のある部分がしびれる、または感覚がおかしい、あるいは手足が動かしにくい、しゃべりずらいなど皮膚感覚と運動機能に影響が出ることです。
そのような症状が出た場合は例え時間がたって回復しても、しっかりと検査を受けられることをお勧めします。
内耳のリンパ液
耳の構造は外側から外耳、中耳、内耳と続いていきますが、内耳の領域でリンパ液が過剰になる事が、めまいを引き起こす原因になると考えられています。
一般的には「メニエール病」と呼ばれますが、特徴としてはめまいは回転性である事が多く、耳鳴りや、耳自体に詰まった感じや聞こえにくさを感じます。
内耳のリンパ液を減らすことが対処療法として行なわれますが、実際にはメニエール病ではない、誤診された患者さんもかなりいらっしゃるはずです。出来れば早い段階で、首から上を良い状態に調整することで症状に変化があるかどうかを確かめてみられる事をお推すめします。
はがれた耳石
内耳の領域にある器官は聴覚と平衡感覚に関わっていますが、ここに三つの輪っかが合体したような形の三半規管と呼ばれるものがあります。
この中に耳石のかけらが迷い込むと、平衡感覚に誤作動が生じてめまいを引き起こす原因になると考えられています。このケースは一般的には「良性発作性頭位めまい症」と呼ばれています。
治療法としては頭の位置を操作しながら耳石を半規管から追い出すエプリー法が有名ですが、やり方についてはネット上で動画なども出回っていますのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。ただこの方法は耳石のけけらが後半規管に入り、しかも浮遊している事が前提の操作法ですので万能ではありません。
メニエール病と同じく、やはり実際には「良性発作性頭位めまい症」ではない方が誤診されているケースもかなりあるものと思われます。
一般的に知られているめまいの原因として代表的なものをいくつか挙げてみましたが、ほとんどのケースで固有受容器も問題に巻き込まれていると思われます。
他にも内耳の奥にある前庭神経の炎症や脳自体の病変、脳腫瘍や脳出血、脳梗塞などもめまいを引き起こしますが、重篤な病変に由来するめまいはもちろん徒手療法の適応ではありません。ただ検査を受けても血管や脳に異常がなかったのであれば、徒手療法を試してみる価値は充分にあると思います。
最後に
固有受容器とめまいの関連性については、まだピンと来られない方もいらっしゃるかもしれません。例えばネットで日本語で「固有受容器」「めまい」と検索しても、おそらくめまいとは関連しない固有受容器についての研究者の論文や実験データ的なものしか出てこないでしょう。
ただ実際に患者様に触ってきた立場の人間としては、頚椎回りを調整することで良くなる方が現実としてたくさんいらっしゃる、というのが一番の裏付けであり、証拠だと思っています。念のために付け加えれば、英語で検索すれば頚椎の固有受容器とめまいの関係についての論文や情報はちゃんと出てきますので、興味がおありの方は確認してみて下さい。
※cervical proprioceptive vertigo (左から頚椎、固有受容、めまい、という意味です)
最後にもう一度言いますが、めまいでお困りのあなたには頚椎周りや顎関節、後頭部や側頭部の軟部組織や関節を良い状態に戻すことで症状に変化があるかどうかを、ぜひとも試して頂きたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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